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オガサワラオカモノアラガイ(小笠原陸物新貝)
学名: Boninosuccinea ogasawarae
地方名: ミズマン(小笠原諸島)、オールーチンナン、イグマ(沖縄、八丈島)
分布: 小笠原諸島母島
解説
小笠原諸島には、これまでは、こんな種類がいることすら予想されていなかった新しい種類が次々と存在した。小笠原諸島は東京都に位置しながら東京都から一番遠い諸島の一つ(東京から船で24時間かかった)であり、海洋島として一度も大陸と陸続きにならなかった環境を生かして、今でも独自の生物が生息している。しかし、人間が来てから、父島では多種多様な生き物が絶滅してしまった。その中でも今では有人島では母島でしかみられなくなった種類も多く存在する。その中の一つがオガサワラオカモノアラガイである。

オガサワラオカモノアラガイと聞いて、パッと思い浮かぶ人はとても少ないであろう。それはとても面白い生物である。まず、この生物は、淡水に生息している巻貝類が陸に上がって生息範囲を陸へ移した謎の貝である。しかも、それがカタツムリよりも後というのも興味深いところではある。そして、貝殻の割合が体に釣り合っておらず、全身は殻の中に隠すことができない。また、海の中に生息するミミガイ類と同様に、貝殻はほとんど巻かれていないタイプと、一回巻くタイプが存在し、一回巻くタイプにテンスジオカモノアラガイがいる。どちらも非常に近く、属も同じではあるが、意外と空に違いが出るのはなんとも興味深い。

オガサワラオカモノアラガイは、通称をミズマン、または水饅頭といい、水饅頭のような色や形をした体が、名前の由来となった。このゼリー状の体を維持するために、雲霧林の中でしか生息が確認されない。また、この写真の植物はタコノキであるが、トゲトゲとした種類の植物、特にタコノキについている。

では、オガサワラオカモノアラガイは天敵が来たらどうするのであろうか。それはできるだけ縮こまることである。びっくりすると、目の柄を折りたたんで中に入れて、できるだけ小さくする。まあ、無防備である。少しでも当たると出てきてしまうので意味もない。しかし、この防衛術のなさは、小笠原諸島の生物の偏りにもみられるのである。

オガサワラオカモノアラガイは、動きは他の種類と比べて自在であり、遅い。ナメクジは種類によっては曲がりやすいが(チャコウラナメクジ等)、貝がある柄眼類で一番動ける。これは180度方向転換を成功させようとしている瞬間である。意外と逃げの力はあるが、自重が重いため、先に行きすぎると落ちてしまうこともあるという。

オガサワラオカモノアラガイ始めに柄眼目と呼ばれるグループは全て、体の貝側がお尻となっており、横に放出するようにフンを出す。これが綺麗に折りたたまれたり、多くの色が出たりするが、小笠原の陸生貝たちはみんな茶色で無造形である。下痢の時のフンといったところだろうか。。。

オガサワラオカモノアラガイ類が生息しているのは、母島だけに限られている。なぜ今では母島だけになってしまったのであろうか。

母島は、人口が400人ほどと少なく、小笠原諸島の自然をより濃く残す、世界自然文化遺産の一つであり、移動手段がとても限られるため、生活はしずらい。しかし、とても自然は豊かであり、雲霧林や綺麗なボニンブルーの海は、こちらの方が堪能できる。そしてなんといっても、父島は種類の層が限られてしまった。外来種の持ち込まれた量が半端ではなかったためだ。なので、ほとんど種類は見ることができず、母島に来る人の方が多い。メグロなどはとても有名であるが、このように貝類だけをみても、カタマイマイ類や、オカモノアラガイ類が繁茂しているすごい森林生態系が残されている。しかしながら、グリーンアノールは今でも課題として残る。

オガサワラオカモノアラガイは、実は見つけるのが困難であり、そのほとんどは、木の高いところの幹にいることの方が多い。母島の乳房山トレッキングコースやその周辺ではまだ見やすいが、ガイドさんが同行している場でないとだいぶ見つけるのは困難であろう。タコノキは、それでも地上付近にいる「可能性」が一番高いに過ぎないのである。

それでも見つけられた時の感動は大きい。多くのオカモノアラガイ類を見つけるコツはやはり葉を一枚一枚丹念に見ること。これ以上に成功率が上がることはない。その時の感動で指が震えて撮影はブレるのが日の常になることも間違いないであろうが。

最後に見分け方である。この写真は右がテンスジオカモノアラガイ、左がオガサワラオカモノアラガイである。
この手は非常に簡単で、下位の先端が巻いているか、巻いていないかでも見分けられるのと、露出部分が多い方がオガサワラ、目の下に線が入るのがテンスジなど、見分け方はいくらでもある。皆さんも一回並べてみたときに、どんな違いがあるのか探してみてほしい。

絶海の孤島、小笠原諸島、母島。
こんなに取り残されてもなお、貝たちは進化を続ける。人間はこれをどうみていくのであろうか。