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イノデ(猪手)
学名: Polystichum polyblepharon
地方名: 鶏足草(別名、漢名)
分布: 日本(東北地方中部・南部以西の本州、四国、九州)、朝鮮半島、中国などの東アジア温帯地域
解説
シダ植物は本当に面白い。数多くの種類を有するのにまだまだ新種が出てくる。
まだまだ未知の種類や独特の形など、面白い要素は数多いが、それでも基準とされているものも、もう一度振り返ってみてみると面白い。
今回はそんな普通にシダだと思えるシダを出す。
それがイノデだ。
上の画像は近似種のサカゲイノデ
やはりシダ植物といえばこのゼンマイ型のものであろう。これはシダの葉が伸びる前の形態であり、中には葉がびっしりと入っているのがわかるだろう。この特有のものを持つものはシダ植物だとわかるためすぐに同定がつく。ヒカゲヘゴなどの一見するとただの木のように見えるシダだって、このゼンマイ型の器官があるためわかる。
ではイノデに話を戻すと、上の写真は枯れてしまっているように見える。実際にこの植物は枯れている。なぜシダが枯れているのだろう。シダ植物は直射日光が苦手なのである。この近くでは倒木があって、周りが森なのにこの近くだけギャップといった日が当たる空間となっていた。それにより元々日陰で多湿なここに生えていたシダ植物は直射日光により枯れてしまったのである。
しかしシダ植物にはそれよりも残酷な死に方をするものもいる。それが、周りに水がなくなって死ぬ個体である。例えば水たまりなどができていたところにその日偶然生えたシダ植物がいたとしよう。そのシダ植物は水たまりがなくなるとどうなるのか。子孫が残せなくなる。シダ植物のほとんどは胞子を水に流してその流れ着いた先で大人になる。しかしその水自体がなくなると、次に雨が降るまで子孫を残せず、しかもそこが直射日光が当たるのなら、子孫が残せなくなってしまうのである。このサカゲイノデも近くにあった排水機の水がなくなり、川のような環境はなかったため、子孫も残せなかったのではないかと思われる。なんとも残酷な話である。
このイノデの名前の由来は、猪の手に似ていることからで、その名前のままとられている。植物にはこれに似ているという理由で名付けられている種類も多く、それがわかればなんとなくこんな名前なのではといった見当がつくので面白い。しかし私はどうもイノデをみても猪の手のようだと思ったことはないのである。なぜ名前がつけられたのかが不思議である。
最後にイノデの仲間だけ見ておこう。イノデはこの普通のイノデの他に、ツヤナシイノデ、イワシロイノデ、サカゲイノデ(枯れたイノデの写真)などがいて、それらの決定的な違いは、小葉の付け根の茎のような部分についている物質で見分けられる。詳しい分類方法は専門書に譲るが、突起のような部分の大きさや形の違いによって見分けられるため、皆さんもぜひイノデらしきものを見つけたら、何イノデかな?と考えながら葉の裏を見てほしい。そこの茎のような部分を観察するだけで、いろいろな面白さが見えてくるだろう。